2013年03月13日

シューズナイキと一緒に




 うるがんは姫君の身を気づかつたnike。双親(ふたおや)と共に熱心な天主教(てんしゆけう)の信者である姫君が、悪魔に魅入(みい)られてゐると云ふ事は、唯事(ただごと)ではないと思つたのである ナイキ。そこでこの伴天連(ばてれん)は、輿(こし)の側へ近づくと、忽(たちまち)尊い十字架(くるす)の力によつて難なく悪魔を捕へてしまつた。さうしてそれを南蛮寺の内陣(ないじん)へ、襟がみをつかみながらつれて来た。

 
 内陣には御主(おんあるじ)耶蘇(ヤソ)基督(キリスト)の画像(ぐわざう)の前に、蝋燭(らふそく)の火が煤(くす)ぶりながらともつてゐる nike air。うるがんはその前に悪魔をひき据ゑて、何故(なぜ)それが姫君の輿の上に乗つてゐたか、厳しく仔細(しさい)を問ひただした ナイキシューズ

「私(わたくし)はあの姫君(ひめぎみ)を堕落させようと思ひました。が、それと同時に、堕落させたくないとも思ひました。あの清らかな魂(たましひ)を見たものは、どうしてそれを地獄の火に穢(けが)す気がするでせう。私はその魂をいやが上にも清らかに曇りなくしたいと念じたのです。


  が、さうと思へば思ふ程、愈(いよいよ)堕落させたいと云ふ心もちもして来ますシューズナイキ。その二つの心もちの間(あひだ)に迷ひながら、私はあの輿の上で、しみじみ私たちの運命を考へて居りました。もしさうでなかつたとしたら、あなたの影を見るより先に、恐らく地の底へでも姿を消して、かう云ふ憂(う)き目に遇(あ)ふ事は逃(のが)れてゐた事でせう。私たちは何時(いつ)でもさうなのです。堕落させたくないもの程、益(ますます)堕落させたいのです。これ程不思議な悲しさが又と外(ほか)にありませうか




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2013年03月12日

ひみつ





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流行のトルストイズムなどには一向敬意を表さなかつた。さうして始終フランス仕込みの皮肉や警句ばかり並べてゐた nike。かう云ふ俊吉の冷笑的な態度は、時々万事真面目な信子を怒らせてしまふ事があつた ナイキ。が、彼女は怒りながらも俊吉の皮肉や警句の中に、何か軽蔑(けいべつ)出来ないものを感じない訳には行かなかつた。

 
だから彼女は在学中も、彼と一しよに展覧会や音楽会へ行く事が稀ではなかつた nike air。尤(もつと)も大抵そんな時には、妹の照子も同伴(いつしよ)であつた ナイキシューズ。彼等三人は行きも返りも、気兼ねなく笑つたり話したりした。が、妹の照子だけは、時々話の圏外へ置きざりにされる事もあつた。それでも照子は子供らしく、飾窓の中のパラソルや絹のシヨオルを覗き歩いて、格別閑却された事を不平に思つてもゐないらしかつた。信子はしかしそれに気がつくと、必(かならず)話頭を転換して、すぐに又元の通り妹にも口をきかせようとした。その癖まづ照子を忘れるものは、何時(いつ)も信子自身であつた。俊吉はすべてに無頓着なのか、不相変(あひかはらず)気の利いた冗談(じようだん)ばかり投げつけながら、目まぐるしい往来の人通りの中を、大股にゆつくり歩いて行つた。……

 
信子と従兄との間がらは、勿論誰の眼に見ても、来るべき彼等の結婚を予想させるのに十分であつた シューズナイキ。同窓たちは彼女の未来をてんでに羨んだり妬(ねた)んだりした。殊に俊吉を知らないものは、(滑稽と云ふより外はないが、)一層これが甚(はなはだ)しかつた。信子も亦一方では彼等の推測を打ち消しながら、他方ではその確な事をそれとなく故意に仄(ほのめ)かせたりした。




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